2013年6月18日
D-Way Toolsの刃物を見ると刃先の反対側にドリルの穴があいています。これはなぜあいているか、気にも留めませんでしたが、D-Wayの説明では、この穴に特殊な針金を通し、焼入れ中に吊るしているという。これによりシャフトの曲がりを防ぐことが出来ます。また台の上などに置いていると、高温処理中の汚染が心配される。これらの問題の対策の為、針金で吊るしているという。
実際に使ってみる
トンプソンと比較してみましたが、薄く削り取る時に一定の厚みで長く切ることが出来ました。分厚く切る時はあまり差がありませんが、仕上げ削りの時は、D-Wayの方がやり易いと思います。
容器の下に振動する駆動部が付いており、上部の容器に研磨剤と一緒に磨きたい部品を入れます。D-Way Toolsではこれと同じ機械かどうか分かりませんが、焼入れ後8時間この処理をするそうです。確かに送られてきたガウジの溝を見ると、他社の物に比べてツルツルです。
ガウジの溝の仕上げ
鋭い刃先にするためにガウジの溝は綺麗に仕上げています。シャフトも手触りの良い様に仕上げており、ツールレストの上でスムーズに動きます。ツールはロックウェル硬度63になっており、溝は丸棒から削っています。下記の2つの特徴があります。
1、脱炭(合金の表面から炭素がなくなること)がないので、刃先は非常に硬くなっている。結果的に良く切れ、長切れする。
2、溝のきれいな仕上げを保証する。結果として溝を通る切りくずの通りを良くする。
D-Way Toolsから1/2"スピンドルガウジを、無料で頂いたので詳細に製品を評価してみた。一番評価したいところは、ガウジの溝の仕上げです。通常ガウジの製造方法は、鋼材メーカーから買った丸棒を、フライス盤を使って溝を掘ります。従って溝にはミリングマークというフライス盤の削り跡が出来ます。これは筋状の凹凸になります。このまま焼入れ処理をして出荷するとガウジの溝に凹凸が残ります。D-Way Toolsではフライス盤で削った後、手作業で磨いており、さらに焼入れ後にバイブレートリイタンブラーという振動バレル研磨機で磨いているという。
トンプソン | D-Way | SB Tools | |
5/8"ボウルガウジ | $80 | $84 | $100 |
1/2"ボウルガウジ | $55 | $75 | $80 |
3/8"ボウルガウジ | $45 | $49 | $60 |
1/2"スピンドルガウジ | $50 | $40 | $60 |
3/8"スピンドルガウジ | $40 | $40 | $45 |
鋼材 | CPM 10V | M42 | CPM 10V |
シャフト断面 | |||
ガウジの溝の仕上げ | なし | 研磨 | 研磨 |
価格比較
ガウジの溝を研磨しているSB Toolsを入れて価格を比較してみました。今までは長切れするCPM 10Vという鋼材を使ったトンプソンのガウジを愛用していましたが、今後はD-Way Toolsに乗り換えようかと考えて居ます。スピンドルガウジに関してはD-Wayが安いので悩むことはないでしょう。D-Wayのボウルガウジの価格が高いのは、溝が深いので研磨に手間がかかるからではないでしょうか?SB Toolsはシャフトの断面がビーム形状なので強度面で有利だと思いますが、値段がそれなりにします。これも1本手に入れる必要がありそうです。
Onewayの宣伝
下はOnewayのサイトのガウジの説明の所に書かれている内容です。ガウジの溝を綺麗に仕上げていると、はっきり宣伝していたので、1本購入しましたが、結果は上記の写真の通りです。Onewayに写真を送って、きれいではないと質問しましたが、メールの返事はありませんでした。
振動バレル研磨機とは?
焼入れ工程での工夫
各社の溝の比較
60mmのマクロレンズで各社のガウジの溝の写真を撮ってみました。すべて1/2"スピンドルガウジです。やはりD-WayToolsの物が一番きれいです。トンプソンのガウジは溝をサンドペーパーでこすっているので、先端部分はオリジナルの状態から変わっています。Onewayは溝を綺麗に仕上げているというが筋が残っています。振動バレル研磨機などは使っていないと思います。