2013年7月31日

桜のねじ切りボックスの製作

大体丸くなったら、左右両側につかみしろを作ります。木目が通りやすそうなところをパーティングツールで切ります。木目が通り易くする為、出来るだけ幅の狭いパーティングツールを使い切り取る幅を狭くします。

ねじ切り治具

1日放置後の写真が左の物です。木目が通る様になりました。

ねじが切れたらチャックごとせんばんに戻して、逃げ溝を作ります。具体的には蓋の一山目を切り取ります。この逃げ溝を作らないと蓋がぴったり閉まりません。チャックから蓋を外します。

下の写真は現在使っているねじ切り治具です。右のX-Yテーブルの上に本体が乗っています。今回作って頂いたのは赤い矢印のカーラーという部品です。治具にもともと付いていた回転ハンドルは小さすぎて回しにくいので、大きい自作の物に交換してあります。またX-Yテーブルは旋盤のベッドの上に取り付けて使うようになっていますが、旋盤の主軸にカッターを取り付けたのでは、回転数が3,000~4,000RPMと低すぎて綺麗にねじが切れません。従って専用の台にトリマを取り付けトリマの高速回転(3万RPM)でネジを切れるようにしてあります。

旋盤にチャックごと戻します。蓋を取り付けて挽いていきます。蓋の壁の厚みを確認しながら挽いていきます。蓋の上部も挽きます。途中まで芯押し台で押しながらやりますが、最後は外してサンドペーパーもかけます。

身の内側を掘りますが、今回はフォスナービットを使いました。1回で大きな穴をあけ様とすると煙が出るので、何段階かに分けて穴をあけました。サンドペーパーもかけておきます。次にチャックごと旋盤から外して、ねじ切り治具に取り付けます。ねじ切りの写真を撮り忘れましたので、別の物をお見せしますが悪い例です。右下の写真になりますが、カッターが回る方向と同じ方向にワークが回ることになります。上から見てワークの左にカッターを当てるのではなく右側に当てるべきです。ネジが切れたら蓋を取り付けてみて問題なくねじ込めたらねじ切り治具からチャックごと取り外します。

旋盤からチャックごと蓋を外してねじ切り治具に取り付けます。20TPIですので、ねじの切込み深さは0.71mmになります。VermecのX-Yテーブルは1目盛0.02mmなのでカッターがワークに当たる位置から35目盛ぐらい回転させると0.7mmぐらいの深さで切れます。6山ぐらい切っておきます。

下の写真の一番下が今回作って頂いた20TPIです。後は12TPIと16TPIがあります。

身の方をチャックに取り付けます。20TPIとは1インチの幅の所に20山のネジがあるということです。身の方には2.5山ぐらいのねじを切ります。従ってネジを切る部分の幅は、25.4mm÷20x2.5=3.2mm+2mm=5.2mmぐらいにします。2mmはカッターの幅があるのでこれぐらい余裕が無いとカッターが身の淵に当たってしまいます。ネジを切る部分の直径は蓋の内径+引っ掛かり高さx2になります。従って引っ掛かり高さが0.71mmなので蓋の内径より1.42mm大きくします。

チャックに蓋を取り付けます。ツールで中を掘っていきますが、今回はフォスナービットを使いました。フォスナービットの中心の穴を刃物で消した後サンドペーパーをかけます。端面はあまり削りたくはありませんが、平らにしておきます。これをやらないと蓋を閉めた時に隙間が出来てしまいます。

製作開始

ワークをビツインセンターで旋盤に取り付けます。

Vermecのねじ切り治具を使っていますが、ネジのピッチを決めるカーラーと言う部品は、Vermecに要求すれば希望のピッチの物を作ってくれます。但し値段が高くなるので、心響太鼓さんに作れないか問い合わせたところ、Vermecの1/4ぐらいの価格でやってくれるという。早速頼んだのは言うまでもありません。

下の写真の赤い矢印の部分を削ると蓋の止まる位置が回転する方向へ動きます。木にもよりますが桜なので木目が完全に合う前で止めています。もちろんこの作業は旋盤の上に身がある時に行います。

完成

右の写真が完成直後の写真です。木目が完全に通る少し手前で止めてあります。これは1日経つと木が安定してもう少し回るようになるからです。

カッターは普段使わないときは木のカバーを取り付けています。手などが当たっても怪我しない様にする為です。

身の底はまな板チャックを使って仕上げます。1インチの長爪チャックを使って内側から押し広げました。底を挽いてサンドペーパーをかけて完了です。