オーディオの神様と呼ばれた長岡鉄男さんが亡くなられて、ずいぶん経ちますがまだその人気は衰えていません。彼が設計したスピーカーは600ぐらいに上るそうです。小生も5〜6台は作りました。木工を始めるきっかけになったのがこの長岡式のスピーカー作りでした。特に合板を貼り合わせて、スピ^カーの中にホーンの音道を作って低音を増強している、バックロードホーンは人気でした。普通のまっ直ぐなストレートホーンと違い、ホーンが曲がりくねっていますが、それなりに効果はありました。その後このホーンの音道が滑らかではないので、反射があり音が濁るというので、滑らかな曲線のバックロードホーンがメーカーから発売されました。MDFの板を滑らかな曲線でくりぬき、その板を重ねて貼り合わせたものです。この方式は長岡先生が設計したものの欠点を解消しているように思われます。以前は木工の腕と道具が揃っていなかったので、出来ませんでしたが今は違います。小型の8cmのフルレンジユニットを使ってこのバックロードホーンを作ってみることにします。

完成

完成しましたが、スピーカーの場合はこの後音出しがあります。エージングが進んでいない新品のスピーカーユニットなので、どんな音がするか楽しみです。

最後に左右の板(シナ合板)を貼り付けます。クランプして接着剤が固まったら、吸音材を入れてスピーカーユニットを取り付けて完成です。

6枚重ねで切り出せれば次はスピーカーユニットを取り付ける穴をあけます。φ71mmぐらいなので自在錐を使っています。スピーカーユニットの穴があいたら、スピーカーケーブルを通す穴をあけます。端子盤はスピーカーの後ろの上に取り付けました。

2018年9月10日

今回使用するユニットはアメリカHi-Vi社のB3Nというフルレンジユニットです。フェライトマグネットで防磁型になっています。2個で4千円ぐらいです。

バックロードホーンの製作

周波数特性の測定

アキュフェーズのDG-28というデジタルグラフィックイコライザーで、周波数特性を測定しました。スピーカーの前にDG-28のマイクを置き、ワーブルトーンで16Hz〜20kHzまでスイープしていきます。測定結果は右の写真の通りです。ユニット単品の周波数特性は、100Hzぐらいから下がっていますが、このバックロードホーンでは40〜50Hzの所にピークが出ています。これはバックロードホーンから出てきた低音です。8cmのフルレンジで、ここまで低音を出せるのはバックロードホーンのメリットになります。右の写真をクリックすると、測定しているところの動画を見ることが出来ます。

音出し

居間のテレビ用のアンプに接続して、音を出してみました。音楽を聴くとまずまずの鳴りっぷりです。新品のスピーカーユニットなので、エージングが必要でしょう。Hi-ViのB3Nというスピーカーは、バックロードホーン向きではありません。低音は出ているが、中高音の伸びがいまいちです。安かったので買いましたが、フォステクスのユニットの方がやはり良かったと思われます。

出来上がったスピーカーボックスは、表面に段などがあったので、カンナとサンダーで修正しました。

GO

スピーカーユニットを内部配線に半田付けをして吸音材を入れます。ユニットをねじ止めして完了です。

テンプレートを使って2枚のMDFを切り出します。この後はこの2枚のMDF板を使って左右2個のスピーカー用のMDFを1枚目のMDFに積み重ねる方式で切っていきます。つまりテンプレートで切り抜いた1枚目のMDF板に2枚目を木工ボンドで貼り付け、それをルーターで切るわけです。2枚目が切り終わったら、3枚目のMDFを接着して同様に切っていき、6枚重ねにします。

製作過程

下の写真をクリックすると、このバックロードホーンの製作過程を見ることが出来ます。

MDFの板をバンドソー、ルーターなどで削り出しますが、その前にテンプレート作りです。合板にA3サイズで印刷したスピーカーの図面をスプレーのりで貼り付けます。これをバンドソーで切っていきますが、ところどころに板を反転させるため穴をあけました。そしてバンドソーで線に沿って切っていきます。バンドソーで切り終わったら、スピンドルサンダー、やすりなどで修正します。

これでテンプレートと材料のMDFの準備が出来たので、ルーターテーブルを使ってまずテンプレートから1枚目のMDFを同じ形に切り出します。バンドソーとフォスナービットで余分な部分を取り除いていますが、音道の狭いところは切っていないので、この部分はルーターですべて切ります。まずテンプレートをMDFの上に両面テープで貼り付けます。ルーターにベアリング付きのストレートビットを取り付けます。そしてベアリングを上側のテンプレートに当たるようにします。この状態で切っていくとテンプレートと同じ形のMDFが出来ます。

テンプレートが出来上がったら、910x1820x15のMDFを買ってきて300x450x15の大きさに切ります。12枚取れます。左右のスピーカーとして各6枚使います。これにテンプレートを使って音道の線を入れます。線を入れるとバンドソーで切りますが、最後にルーターで切るので、バンドソーは線の内側を切って、ルーターで仕上げる仕上げシロを残します。